中村 真生子 (なかむら まおこ)
<詩作品>
今日が生まれた
光の揺らめき
朝露の煌めき
生まれたばかりの朝はどこか無防備で
きれいなものを見せてくれる
鳥のハミング
波のスイング
生まれたばかりの朝はどこか無邪気で
きれいなものを聴かせてくれる
朝が生まれた
喜びや希望やせつなさや
感じることができない繊細な感情をも
光の糸に織り込みながら
朝が生まれた
今日が生まれた
今、ここで
なんだか虚しくなった時
心はどこかに出かけてる
そんな時は口ずさむ
「今、ここで」と口ずさむ
すると、心が還ってきて
少し気持ちが楽になる
なんだか苦しくなった時
心がぐにゃりと歪んでる
そんな時は口ずさむ
「今、ここで」と口ずさむ
すると、心が落ち着いて
少し気持ちが楽になる
今、ここで
「今、ここで」と口ずさむ
なんでもない午後に
たまたま通りかかった家の庭の片隅に
ひょろひょろ咲いていたヒヤシンスに
なぜか心ひかれたように
そんなふうに人は
だれかに恋をすることもあるのかもしれない
そんなふうに
コトリと
こんな、なんでもない日の午後に
腹で考えよ
あせる必要はないのに
あせって
自らの心を疲れさせる
言い訳する必要はないのに
言い訳をして
自らの心を乱れさせる
そして
次第に心が病んでくる
そんな時は腹式呼吸
吐いて吸って
吐いて吸って
あるいは
二回吸って四回吐いて
三回吸って六回吐いて
腹で考え
脳を休める
脳も腹(腸)から生まれたらしい